近年の職場の環境から、以前は4~50代の人がかかる病気とされていた
うつ病を始めとする精神疾患。
しかし、今では2~30代の若者でも精神疾患を起こすケースが多く、従来のうつ病に加えて
新型うつ病も新たに出てきました。
勤務中に症状が悪化しやすく、休みの日や遊びの誘いがある日などは気分・体調を
復調しやすい事から、新型うつは精神的に弱い人、甘えている人に多くかかりやすいと
認識されることが多々あります。
しかし原因は労働環境の悪化にあるのではないでしょうか。
近年の職場環境には諦めの空気が充満している
インターネット・SNSの発達に伴い、今ではパソコンやスマートフォンがあれば誰でも
気軽に自分の発言したいことを不特定多数に向けて発信することができます。
中には、自分の置かれている状況を誰かに知って欲しくて、愚痴っぽく自分の労働環境を
吐露する人もいます。
そのため、その業界・業種、果てには企業別にどのような労働環境で社員が働いているか
今では容易に情報が入手できてしまいます。
就職活動を前にした大学生も、自分の就職したい企業を見つけたらまずは検索エンジンで
「企業名 ブラック企業」というように粗悪な労働環境かどうかを
チェックするのが当然です。
しかし、今では休日はしっかり取れて、有給消化もでき、残業は月に数えるほど
という企業に所属するのはほんの数%のトップグループに許されていたり、よほど運の良い人
と捉えている人が多くいます。
日本国民全員がそうではありませんが、自分の勤めている労働環境にサービス残業や
休日出勤、残業代未払いなどブラックな要素を少なからず抱えている事に不満を持つ人は
大勢います。
とはいえ、経営陣など上の人に噛みついたところで環境が改善される保証があるわけでも
ないし、むしろクビを切られるのではと危惧する人が多いので、声を上げて抗う人は
少数派と、今の日本では言わざるを得ません。
転職・再就職しようにも諸外国と比べてレールから外れた人間に対しては白い目を向ける
日本では中々復帰できないこともありますので、あきらめて今の会社に居続けようという
選択肢を取っている人がいるのが現状です。
長時間労働から来るうつ病
企業の経営者と言うのは当然利益を出したい一心で、経費を削減させるとしたらまず
調整しやすい人件費からというのが普通の考えです。
その為には、社員に長時間労働させて残業代は少しずつ、というのが従業員側の目線
からは残念ながら一つのパターンとして成り立っています。
近年の日本経済は消費が落ち込み、企業に帰ってくるお金で回らないので、並の企業では
長時間労働させるのが常態化しているでしょう。
当然のことですが、長時間労働は体力・精神力を消耗し、人によっては睡眠時間が極端に
短くなる事から脳の休息が足りなくなってしまいます。
それが何を引き起こすかと言うと、
脳が疲労→情報処理能力の低下→ミスを頻発
上司や周りから注意や罵声を浴びる→余計に脳機能が低下→うつ病発症
という流れを引き寄せやすくなってしまいます。
長時間労働をさせられて、しかも社会に出て間もない若い世代の人はストレスへの対処の
仕方も下手なままなので、うつ病にかかっていくのは当然の結果でしょう。
手を抜くのではなく、気を抜く
ところで皆さんの仕事と言うのはいつでも100%の力で張り切って当たらないとできない
仕事でしょうか。
人間の集中力は長く持って90分、という学説があるとおり、とても8時間以上続けられる
ものではありません。
どこかで緊張と弛緩を繰り返しているのです。
これを意識的にスイッチする感覚で、自分の仕事を手は抜かずに
気を抜いてやってみてください。
例えばデスクワークが中心の人は画面を注視するのではなく、ただ見るだけという意識に
タイピングする手は常に最小限の筋力しか使わないように、といった具合ですね。
長時間労働を強制する経営陣や上司を変えるのは相当な苦労や準備、計画が必要になることが
多いので、まずはスタミナや精神力の消耗を防ぐために80%の力で今の仕事をしてみる
そんな感覚で仕事をしてみてください。